しんぷる・が・べすと

「愛に時間を」

BBQのにおいが「怖い」に至るまで

昨日は会社の人とBBQをしてきました。

BBQって遊びも兼ねたお食事会って感じで、食べ物は美味しい物が用意されがちだし、雰囲気も大体楽しい感じになるものだから、僕は誰かにBBQに誘われれば基本的に参加します。

要するに好きな催しです。

 

昨日もひとしきり楽しんだ後、家に帰ってきて落ち着いた頃、ふと衣服に染み込んだBBQの炭の臭いが鼻をつきました。

この時、一般的にはどのように感じるものでしょうか。

楽しい思い出に耽り、一人ニヤニヤするものでしょうか。

 

僕にとってBBQの臭いは、少し嫌な臭いだったりします。

 

 

僕がまだ小さかった頃から高校を卒業する頃まで、父は僕達家族をキャンプに連れて行ってくれました。

少なくとも年に1回は連れて行ってくれていたかと思います(今でも家族でBBQはします)。

 

キャンプに行けば必ずBBQをしますから、僕にとってキャンプ=BBQというようなイメージがあります。

そしてそれはつまり逆も言えて、「BBQのにおい」は僕にとって「キャンプの思い出」でもあるのです。

 

それが何故「嫌な臭い」になるのかというと、別段キャンプ自体に嫌な思い出はありません。

家族みんなでワイワイ楽しんでいたし、空いた時間には川で遊んだり、虫捕りをしたり、魚を獲ったりしたもので、それはどれもが楽しい思い出です。

 

じゃあどこに「嫌」という感情があるのかというと、ドラマにあります。

当時サスペンスドラマを子供ながらに観ていた僕は、ある怖いシーンが頭から離れませんでした。

それはどんなシーンかというと、キャンプをしていた登場人物が夜寝ている最中に、殺人犯にお腹を刃物で滅多刺しにされるというものです。

描写がとにかく気持ち悪かったし、単純に怖いし、犯人像もぼかされて気味が悪いものだったから、子供の僕はそれが強烈に残ってしまったのです。

 

だから、キャンプに行って寝る時に、いつもこのシーンが頭を過ぎるのでした。

ドラマはあくまでも作り物であることはわかっていたし、家族みんなでいるし、頭では大丈夫なことはわかっている。

でも心の底では何かそういう「殺されるかもしれない」という恐怖心を漠然と抱いていたのだと思います。

 

つまり「キャンプ」には「怖い」というイメージも僕にはあるのです。

そうすると僕の中で「BBQ」がキャンプと確かな繋がりを持っていますから、以下の式が出来上がります。

 

BBQ=キャンプ=怖い

 

こうしてBBQのほのかなる臭いを嗅ぐだけで、キャンプの思い出が鮮明に蘇り、巡り巡ってサスペンスドラマの怖いシーンにまでイメージは至るのでした。

といってもこれは直感的なものであり、ほぼ瞬間的にイメージされます。

ともすると、これはもうほとんどトラウマというものだと思うのです。

 

 

これが悔やまれてならない。

僕にとってキャンプそのものは本当に楽しい思い出であったはずなのにも関わらず、全然関係のないサスペンスドラマによってそこに黒い影が残ってしまった。

 

しかもそれは楽しいBBQの度に思い出す。

あれさえなければと思えてならない。

 

子供って本当に繊細だから、大人は注意して見てないといけませんね。

過保護が過ぎるのも考え物だけど、選べない子供にはやっぱり保護者が必要でしょう。

 

それが難しいんですけれどもね。

 

おしまい